囲い込みとは仲介会社が物件を故意に流通させない行為
不動産業界における囲い込みとは、仲介会社が売主から依頼された物件を、故意に流通させない状態を指します。
わかりやすく言うと、他社に紹介せず、自社だけで買主を探す行為のことです。

これまで宅建業法において、囲い込み禁止の罰則対象は明文化されていませんでした。
しかし、取引の公正性・誠実義務に違反するとして、過去に行政処分が出た事例もあります。
2025年1月1日より、国土交通省により宅建業法の省令が改正され、レインズ上での取引状況の透明性が強化されました。
たとえば、囲い込みには次のようなケースがあります。
- 業者間流通サイトのレインズ(不動産流通機構のシステム)に物件を載せない
- レインズに載せていても、他社の問い合わせに「商談中です」と断る
- 実際は紹介可能でも「一時紹介停止中」と表示する
なぜ、こんなことが行われるのでしょうか。
それは「両手取引」による収益の確保が理由です。
両手取引とは、1社が売主と買主の仲介を両方とも担当することをいいます。
この場合、仲介会社は売主・買主の両方から仲介手数料を受け取るため、1つの案件で双方から利益を得られます。
だからこそ他社に紹介せず、自社で取引を完結しようとするのです。
売主がこのような状況を把握できないまま行われるケースが多く、長年にわたり業界内でも問題視されてきました。
囲い込みによる売却や賃貸経営への悪影響とは?
囲い込みによってオーナー様には、以下の4つの悪影響が考えられます。
1.売却のチャンスを逃す「機会損失」
他社の購入希望者との接点を仲介会社が遮断すると、本来成立していたかもしれない商談の機会を失うことになります。
人気エリアや好条件の物件であっても、紹介の幅が狭められることで、売り出し期間が長引くリスクが高まるのです。
2.不要な値下げによる「利益損失」
囲い込みによって反響が少ないと、「買い手がいない」と誤解し、実際には十分なニーズがあるにもかかわらず、不要な値下げをしてしまうおそれがあります。
その結果、本来は必要のなかった価格改定が行われ、オーナー様にとって利益損失につながるため要注意です。
3.取引の透明性が失われるおそれ
透明性が担保されないと、物件の販売状況を正しく把握できず、適切な判断が難しくなります。
たとえば、実際には購入希望の問い合わせがあっても、仲介会社からその報告がなければ、売主はそれを知ることができません。
4.賃貸経営にも悪影響が及ぶ可能性
囲い込みは、売買だけでなく賃貸の現場でも起こり得ます。
管理会社が物件情報を他社に流さなければ、空室期間が長引き、家賃収入の減少を招くおそれがあります。
さらに、囲い込みは買主にとっても大きな不利益となります。
仲介会社が情報を他社に流さないと、その条件を求めている買主が新たな物件と出会う機会が奪われてしまいます。
囲い込み規制のポイントは大きく4つある
国土交通省は、不動産の囲い込みを防ぐため、省令改正を2025年1月1日から施行しました。
これにより、「取引の透明性が高まること」が期待されます。
主な改正ポイントは、以下の4つです。
1. レインズの取引状況の更新が義務化
仲介会社は、専任媒介や専属専任媒介の依頼のあった物件を「レインズ」に登録する義務が以前からありました。
今回はさらに、専任媒介や専属専任媒介の物件に「取引状況の更新義務」が課されました。
※なお、一般媒介契約では、レインズ非掲載はルール違反ではありません。
2. 売主への説明が義務化
不動産会社は、物件をレインズに登録した際、登録証明書とあわせて「売主が取引状況を確認できること」を説明する義務があります。
この説明を怠った場合も、行政指導の対象となります。
3. 登録証明書にQRコードを追加
レインズ登録証明書にQRコードが追加され、売主専用画面で状況の確認ができるように。
売主はスマートフォンでQRコードを読み取るだけで専用画面にアクセスできます。
これにより、自分の物件の販売状況を簡単に確認できるようになりました。
4. 虚偽登録への処分を明文化
虚偽の取引状況の登録がある場合、宅建業法違反として行政処分(指示処分など)の対象になることが明文化されました。
これらの省令改正によって、オーナー様が安心して不動産取引ができる環境が整いつつあります。
売却の際には、レインズの登録や更新についてしっかり説明してくれるかも、仲介会社選びの重要なポイントとなるでしょう。
オーナー様自身で登録状況を確認する方法
今回の規制により、不動産業界の「囲い込みに対する意識」が変わることが期待されます。
一方で、専門家からは「国の監視には限界があるため、根本的な解決とは言い難い」との声も。
これを踏まえると、オーナー様自身で物件の登録状況を確認することも大切です。
その確認方法は、以下のとおりです。
1. 登録証明書のQRコードをスマートフォンで読み取る
仲介会社から交付される「レインズ登録証明書」には、QRコードが付いています。
これをスマートフォンで読み取ると、「売主専用画面」へアクセスできます。
内容を確認するにはIDとパスワードが必要です。
事前に仲介会社から受け取っておきましょう。
2. 取引状況を定期的にチェックする
売主専用画面では、以下の情報を確認できます。
- 物件の登録内容
- 現在の取引ステータス(例:「公開中」「購入申し込みあり」「一時紹介停止中」など)
ステータスが「売主都合で一時紹介停止中」となっている場合は注意が必要です。
心当たりがなければ、仲介会社へ確認しましょう。
囲い込みを根本的に防ぐには、誠実な対応をしてくれる仲介会社に依頼することです。
査定額が高いから良い業者とは限りません。
「なぜこの価格なのか」「どう売るのか」など、説明の丁寧さを重視しましょう。
売却で成功するには、目的に合ったタイプの不動産会社を選ぶことも大事です。
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この記事の監修者
谷 和範(株式会社さくら不動産 代表取締役社長)
- 宅地建物取引士/
- 賃貸不動産経営管理士/
- おうち売却の達人
大手不動産フランチャイズチェーンに19年間勤務後、株式会社さくら不動産を創業する。現在SUMiTAS北見店を運営。対応分野は、不動産売却・住み替え・相続・賃貸・管理・不動産コンサル。対応エリアは北見市、網走市、美幌町。
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