2026年もインフレ局面なら、マンションの売り時が続くことが予想される
マイホームなどの不動産の売却を検討する際に重要なのは、「いつ売るか」というタイミングの見極めです。
市場や経済の変化が激しくなると見込まれる2026年に向けては、直近の①需要、②金利、③経済状況と税制の3つを意識することが欠かせません。
これらの状況を把握することで、より有利な条件での売却を進めやすくなります。
はじめに、2026年に注目すべき3つの指標のうち、「需要」の動きを解説します。
最近は「不動産価格が高い」というニュースをよく耳にしますが、カテゴリ別に見ると、とくに好調なのが分譲マンション市場です。
首都圏では新築マンションの平均価格が過去最高水準の1億円前後で推移しています。
また、新築だけでなく中古マンションも値上がりが続き、2025年9月時点の東京23区における中古ファミリータイプの平均売り出し価格は1億円を突破しました。
マンション価格が高止まりしている背景には、以下の3つの要因があります。
・富裕層による強い購入意欲
・開発用地の不足
・建設コストの上昇と人手不足
日銀が2025年10月23日に発表した「金融システムリポート」では、これらのうち、建設コストと人手不足などの供給側の要因が価格上昇に大きく影響していると分析しています。
建設コストには物価上昇も影響を及ぼします。
日銀が2025年10月10日に公表した「生活意識に関するアンケート調査」では、5年後に物価が「上がる」と回答した人が84.8%に達しており、今後もインフレ基調が続くと見られます。
また、人手不足については、現場職人の高齢化が進んでいるため、さらに厳しい環境になることが懸念されています。
こうした現状を踏まえると、2026年以降も大都市圏のマンションは売りやすい環境が続くと考えられます。
とくに立地や築年数の条件が良い物件は、引き続き高値での成約が期待できます。
ただし、不動産を「市場の天井」で売却することは容易ではありません。
市場が好調なうちに、早めに売却戦略を立てて実行することが重要です。
価格がピークを過ぎると、需要が一気に冷え込むおそれがあるため、タイミングを逃さぬよう早めの決断が求められます。
戸建て・住宅地は緩やかな上昇の中で二極化が進む
不動産価格の動きを把握するうえで、国土交通省が毎月公表している「不動産価格指数」は重要な指標です。
2025年1〜6月期のデータを見ると、全国の戸建て住宅や住宅地の価格は以下のように推移しています。
・住宅地:3.8ポイント上昇
・戸建て住宅:1.5ポイント上昇
戸建て住宅と住宅地は長期的に緩やかな上昇傾向が続いています。
ただし、全国平均は上がっても、地域や時期によっては大きな下落が見られる点に注意が必要です。
たとえば、「住宅地の価格指数(2025年6月)」を地域別に見ると、以下のように下落傾向を示すエリアもあります。
・東北地方:前月比3.7%減
・中国地方:前月比13.7%減
一方、首都圏・中部・近畿の都市部などでは、再開発やインフラ整備、人口流入などを背景に底堅い需要が続いており、エリア間の価格二極化が進んでいます。
この傾向は、2026年以降も続くでしょう。
このように、戸建て住宅や住宅地の市場動向は、地域によって大きく変わります。
そのため、地域の市場動向や成約価格のデータを有する不動産会社からの情報提供を受け、売却時期を見極めることが大切です。
識者の大半が「2026年の物価上昇率は2%超えだと思う」と回答
先述のように、不動産価格には物価上昇が大きな影響を及ぼします。
その意味で、不動産をこれから売却したい方は、2026年の物価上昇率にアンテナを張る必要もあるでしょう。
物価上昇率については、識者の様々な見解がありますが、信頼性が高いのが日経新聞が2025年9月29日に実施した40人以上の大学教授・准教授らに対するアンケート調査です。
「インフレ率は2026年度も日銀の2%目標を上回る可能性が高いか」の問いに対し、「そう思う」と回答した割合が45%に達しました。
一方、同じ質問に対して「(日銀の2%目標を超えると)思わない」と回答した識者の割合は、わずか2%でした。
この結果を見ると、大きな政策変更がなければ、引き続きインフレ基調が維持される可能性があります。
インフレ局面では、住宅ローンの金利上昇に要警戒
もう1つ不動産市場に大きな影響を与える要因が「住宅ローンの金利」です。
金利が上昇すると、不動産価格にマイナスの影響を及ぼします。
主な理由は以下の2点です。
・月々の返済額が増えることで、購入をためらう人が増える
・返済総額の増加によって借入可能額が減少し、買い控えが起こりやすくなる
加えて、売主側も「今の時期は売れにくい」と判断し、売り出し価格を引き下げるケースが増加します。
その結果、さらに需要が縮小するという負の連鎖が生じる可能性があります。
このような背景から、不動産の売却を検討している方は、2026年以降の金利動向を注視することが重要です。
直近では国内のインフレが続いており、金利は段階的に上昇傾向にあります。
今後もインフレが継続する場合、2026年以降にさらなる金利上昇がある可能性も否定できません。
ただし、過去の事例を見ると、上昇幅が0.25%程度の小幅な上げにとどまるケースでは、住宅需要への影響は比較的限定的です。
一方で、たとえ小幅でも金利上昇が繰り返されれば、長期の住宅ローンを敬遠する層が増えるリスクもあります。
そのため、金利上昇リスクを重視する場合は、2026年中の売却を検討する判断も有効といえるでしょう。
このほか、住宅ローン減税の行方も不動産市場に影響を及ぼします。
現在は2025年末までに住宅取得などをした場合に最大13年間にわたって各年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税や住民税から差し引く制度となっています。
2026年度については本稿執筆時点で未定ですが、国土交通省は税制改正要望として「所要の措置を講じる」ことを求めています。
今後、「制度が継続されるか」と「これまでと同程度の節税効果があるか」について注目しましょう。
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この記事の監修者
谷 和範(株式会社さくら不動産 代表取締役社長)
- 宅地建物取引士/
- 賃貸不動産経営管理士/
- おうち売却の達人
大手不動産フランチャイズチェーンに19年間勤務後、株式会社さくら不動産を創業する。現在SUMiTAS北見店を運営。対応分野は、不動産売却・住み替え・相続・賃貸・管理・不動産コンサル。対応エリアは北見市、網走市、美幌町。
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